プレジデント2019.5.13号
令和と改元されました。天皇の退位の儀式も終わり、明日の剣璽等承継の儀及び賢所の儀を終えて、新たな天皇が即位される。
法律上は、譲位後、「直ちに即位する」となっているので、本来であれば、翌日に承継の儀が行われるのはおかしいのではないか。
法律上は、直ちに即位であるから、5月1日の0時をもって、天皇退位、そして新天皇即位となる。儀式は儀式、法律は法律として、儀式を単なるお披露目程度に考えているのかもしれない。
それは生身の人間を象徴と称して、法律化するという矛盾に満ちたやり方と呼応するものであるように感じる。
天皇が血統によって規定されるものである以上、それは単なる法律的存在ではない。すなわち、日本国憲法で規定しているのは、天皇が象徴であり、その地位は国民の総意に基づくものである、ということだけである。
天皇とは誰なのか、象徴であると規定された天皇家とは何であるか、ということは、規定の事実であって、法律によって生まれた家系ではない。
すなわち、血統に規定された存在である天皇は、象徴である前に、既に歴史的存在として現存しているため、実体として天皇は引き継がれなけれなならない。そのために、宮中には承継の儀が存在しているのである。
実体としての天皇と、象徴としての天皇と、現在の天皇の持つ二重性は、逃れない枠組みであり、そこにずれを生じさせないようにする不断の努力が必要となる。
できれば、承継の儀は深夜であろうと、すべきであると思うのだが。
この問題は、日本に生まれながら、日本国民でさえなく、憲法上の義務は負うが、権利は持たない存在としての皇族の特殊性と同じく、日本が抱える最大の特殊性だと思う。
私は、天皇制に反対しているわけではなく、国民の賛成が反対を大きく上回っている以上、存在したらいいが、いつの日か、皇族を、この軛から解放してあげたいと、切に願う者である。
さて、そんなことも考えながら、元号についても、ちょっと考えるのに、いい機会であろう。
上記の本など、気軽に読めて、いいのでは?
<目次>
第1章 元号いろいろランキング
第2章 元号って何だ?―その導入と定着
第3章 誰が元号を決めるのか?―改元をめぐる駆け引き
第4章 元号のイメージ把握力―明治・大正・昭和・平成
第5章 全国の改元ゆかりの地―九州から東北まで
第6章 「元号」に囲まれて―時代の記録とオフィシャル感
巻末付録
0コメント