書評:サンデー毎日2019.5.5-12号
評者:岡崎武志氏
副題:進化発生学入門。
進化論は面白い。
過去、いろんな論争がある。日本では、進化論は当たり前と捉えられていると思うが、アメリカではそうではない。4割が創造説、すなわち神がつくったとする立場に立ち、進化を認めないという調査結果もあるらしい。したがって、学校教育で進化論を教えることが難しい。
ということになれば、当然、ますます進化論は広まらない。
イスラム社会に対する認識もそうだが、アメリカ社会だって、われわれの理解の及ばないことがたくさんあるのだ。
日本に住んで、たまに海外旅行する程度では、世界のことは分からない。日本のガラパゴス化が進みませんように。
だが、われわれは進化を信じよう。進化はあります。
進化論は、当然、決着がついた学問ではない。現在進行形である。ちょっと目を離すと、次から次へと、新しい理論が出てくる。面白い学問分野だ。
この本は、進化論の中でも、形に着目した本で、進化によって形が変わるとはどういうことなのか、という分野についての本だ。
次から次へと形が変わり、広がっていく進化の系統樹。誰もがどこかで見たことがあるものだ。全て、偶然に左右されたものである。いや、その環境の中では必然だったのかもしれない。あるいは、必然性があるものだけが生き残ったというべきか。
この手の本の面白さは、読めば読むほど、面白い。そして、読んでも読んでも分からない。
ここが楽しい。そして、次の本を手に取るんだ。
<目次>
第1章 原型論的形態学の限界
第2章 形態学的相同性
第3章 分類体系をなぞる胚
第4章 進化を繰り返す胚
第5章 反復を超えて
第6章 進化するボディプラン:アロモルフォーゼ
終章 試論と展望
進化論と言えば、大好きなスティーブン・J・グールドのこの本も、何回でも読み返したい。
スティーブン・J・グールドの本で進化論の魅力にはまったことは否めない。
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