カール・ホフマン著 (米国のジャーナリスト)
HONZ編集長の内藤順氏の紹介本。
副題に、『ロックフェラー失踪事件』とある。
有名なネルソン・ロックフェラーの息子である、マイケル・ロックフェラーが1961年にニューギニアで消息を絶った。彼は、民俗学者であった。ニューギニアのアスマット族の研究をしていた、という。
Wikipediaを見ると、その消息は、確認されていない。
しかし、著者であるカール・ホフマンは現地調査をした結果、マイケルは、首狩りの風習のあったアスマット族に殺され、食べられた、と結論付けている。
この書は、その調査報告ともいうべき、ノンフィクションである。
アスマット族は、実に奇妙な風習を多数持っていたようだ。首狩りの風習は世界各地にあり、日本でも、合戦になると、「首をあげる」といって首狩りを行った。もちろん、アスマット族とは、その背景も理由も異なるものであり、首狩りと一言で言っても、世界各地、各部族、さまざまな文化的背景を持って行っている。
本書は、マイケルが狩られてしまった理由を追求したものであり、著者は現地で1カ月、アスマット族と共に暮らし、彼らの文化を理解しようと努めている。もちろん、現在では首狩りは行われていない。
マイケルの事件調査を通じて、アスマット族の精神世界と西洋世界の対比ともなり、民俗学的な興味も尽きない。
世界はまだまだ広い。もっともっと知りたい。いや、知らなければならない。井の中のかわずにはなりたくないものだ。
2019年3月21日刊行
亜紀書房
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